本インタビューは3/20(水・祝)に開催したアニメ業界就職フェア「ワクワーク2025」の出展企業に、今年の採用に関するお話をお聞きしたものです。
ワクワーク2025 イベントページ:https://wakuwork2025.peatix.com
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ワクワーク2025出展企業インタビュー企画第四弾として、映画「すみっコぐらし」やアニメシリーズ「アグレッシブ烈子」などのキャラクター作品を手掛けるアニメスタジオ ファンワークスの、代表取締役社長 高山晃様とプロデューサー 横山美羽様に、会社の立ち上げの経緯や現在の事業内容、今年の採用についてお話をお聞きした。
ーーまず最初に、ファンワークス様の業務内容や手掛けられてきた作品について教えていただけますか。
高山晃様(以下、高山):ファンワークスは、「映画 すみっコぐらし」シリーズや「映画ざんねんないきもの事典」、Netflixで配信中のアニメシリーズ「アグレッシブ烈子」、NHK Eテレで放送中の「チキップダンサーズ」や「宇宙なんちゃら こてつくん」等のTVアニメシリーズを制作しています。主にキャラクター系の作品を多数手掛けておりまして、作品の制作にあたっては企画の立ち上げから参加し、製作委員会の幹事会社も務めながら全体のプロジェクトをトータルでまとめることもしています。
オリジナル作品を多く手掛けていますが、「トムとジェリー」を弊社でリモデルしたショートアニメシリーズ「とむとじぇりーごっこ」のような、IPに紐づくアニメ作品もいくつも手掛けており、幅広く映像制作しています。
ーーNHKで放送されるアニメが多数あることは、他アニメスタジオと大きく違う点だと思います。これは、どういった理由からでしょうか?
高山:NHKで放送する作品については、作品ごとに新しい取り組みが求められるケースが多いですね。弊社は制作ラインを固定せずに、色々なクリエイターと制作チームを作る形を取っており、他社に比べて短編アニメーションの制作が組みやすいのが特徴です。NHKで放映する作品の多くが、5分から7分半程度のショートアニメーションで、弊社の制作スタイルとマッチしていると言えると思います。
ーー作品の企画立ち上げも御社でやられるケースが多いとのことですが、「映画 すみっコぐらし」シリーズのように原作がある場合と、御社のオリジナル企画の場合とで、その企画の始まり方は異なるものなのでしょうか?
高山:弊社が中心となって企画を組み立てる作品もあれば、クリエイターやキャラクター会社と一緒に企画を作っていく場合もあります。とはいえ、どのような場合であってもやることは共通していて、ターゲットは誰か、どういう攻め方をするか、どういう地域性があるか、予算的に成立するか、クリエイターはどなたにお声がけするか、といったことをゼロから考えていくことは変わりません。
原作がある場合と弊社オリジナルの場合の違いで言えば、「すみっコぐらし」や「とむとじぇりーごっこ」のような原作がある作品は、作品固有の世界観を崩さないよう、慎重に企画を作っていきます。キャラクターのルックや美術背景など、原作元と綿密に打ち合わせをしながら、世界観がずれないように、ファンの方の期待に応えられるよう作品の内容を作っていくことが重要になります。
逆に弊社オリジナルの場合は、長期的な視点に立って実験的な内容も盛り込みつつ、作品を作ることができます。
弊社は映像制作会社ではあるのですが、もう一つの側面としてキャラクタービジネスの会社でもあります。キャラクタービジネスは、TVアニメが3ヶ月ごとなのと比較して長期にわたってキャラクター人気を育てていくことが多いです。
例えば「すみっコぐらし」のような既に知名度がある作品は、映画化とともに人気が急上昇することもありますが、新規のキャラクターを立ち上げる場合は長い時間をかけてファンの方に認知していただくことが重要だと考えています。
弊社が得意とするショートアニメは制作コスト・制作期間の両面で長期プロジェクトに向いておりますし、昨今のSNS事情を踏まえると短尺のアニメのほうが視聴されやすいという点でも利点があります。
ーー御社がその制作スタイルに至った経緯について、教えていただけますか。
高山:弊社が最初に手掛けた作品はラレコさんが監督のアニメ「やわらか戦車」です。ラレコさんは現在「アグレッシブ烈子」や「チキップダンサーズ」の監督を務めていただいていますが、会社の設立からのお付き合いです。
「やわらか戦車」はネット発の作品で、オリジナルIPを作りキャラクタービジネスを行っていくことが目標のプロジェクトでした。会社設立から約18年経ちますが、設立当初からのビジネス・制作スタイルを変わらず踏襲している形です。
ーー最近では「アグレッシブ烈子」のような配信ベースのタイトルや、劇場作品も多数手掛けていらっしゃいますが、ショートアニメをメインで制作されていた頃と比較して会社として変わったことがあれば教えてください。
高山:弊社自体の変化というより、クリエイターの方々を取り巻く環境が変わったと思います。会社を立ち上げて間もない頃は、弊社がいろいろなクリエイターにお声がけをし、作品制作を通してクリエイターにスポットライトを当てていけたらと考えていました。
しかしながら、近年はインターネットの影響力が大きくなり、クリエイター個人がご自身の作品を自分で発信することができる環境になりました。そのため弊社のミッションは映像制作をするということよりは、クリエイターの方たちのハブとなり映像制作しやすい環境を整えるとともに、エンターテインメント企業やメディアと協力しながら作品を盛り上げていくビジネス面も強化していく方向にシフトしました。そうした流れの中で映画やアニメシリーズについての企画がまとまることも増え、現在のスタイルになっています。
ーークリエイターとの協業が御社の大きなテーマであるとのことですが、ラレコさんなど複数のクリエイターが御社に所属されている、ということでしょうか。
高山:ラレコさんも厳密にいうと所属しているというわけではありません。多くのクリエイターがファンワークスとのチームで作品を作っていただいています。例えば「すみっコぐらし」の美術監督を務めていただいた日野香緒里さんも弊社作品以外にも多数手掛けていらっしゃいます。作品ごとに色が違うため、作品に合わせてクリエイターの方たちに声をかけさせていただいています。
ーー現在、御社の社員数は何名でしょうか。また、平均年齢や性別の割合も教えていただけますか。
横山美羽様(以下、横山):現在は23名ほどで、4月から新入社員2名が加わり25人になります。男女比は女性が多く、ざっくりと女性が7割、男性が3割です。元々可愛いキャラクターの作品を中心に制作していたため、女性スタッフやクリエイターが活躍しているのですが、最近は男性プロデューサーや男性クリエイターも採用しており、男性の割合が高まっています。
年齢については、20代から30代が多いですね。40代以上のプロデューサーもいますが、新卒で採用したスタッフがプロデューサーへと成長して現在弊社の中核になっています。
ーー女性社員が多いとのことですが、産休や育休の制度についてはどのようになっていますか。
横山:女性社員に向けてというわけではありませんが、現在弊社は週2日が出社で週3日がテレワークというスタイルで業務に取り組んでいます。毎日12時から15時をコアタイムとして設定しており、それ以外の時間については自由です。
そのため子育て中のスタッフは子どもの面倒を見つつ、夜に子供が寝てから作業をおこなうなどフレキシブルな働き方が可能です。また送迎が夕方にあるためコアタイムで一旦仕事を切り上げるなど、子育てと仕事を両立しやすい環境になっていると思います。
ーー子育てをしながら働いている方はどれくらいいらっしゃいますか?
横山:現在4名が子育てをしながら働いています。
ーーそうなのですね。長期的に見てそういった環境の会社は、社員の方々が安心して働ける職場になるのではないかなと思います。
高山:一般的なアニメスタジオのプロデューサー職に就くと、各セクションの進行管理の都合や、他社との付き合いの兼ね合いだったりで、なかなか子育てをしながら働くことは難しいのではないかと思います。弊社の場合は映像制作がフルデジタルなこともあいまって、時間や場所について大分融通が効きます。
業務時間についても、納期前だったとしても徹夜は無い会社です。スケジュール通りにプロジェクトが進めるためのノウハウが弊社にはすでにあり、クリエイターの進捗を待つ場合でも自宅で作業可能です。仕事がひと段落したら長期休暇を取れるなど、働きやすい環境を一つずつ作っています。
ーー新卒採用について、望む人物像や特に求めるスキルについて教えてください。
高山:弊社では今年、プロデューサーとクリエイターの2つの職種で募集をしています。
まずはプロデューサー職についてですが、弊社でプロデューサーとして働くということは、作品を最初から最後まで見てもらうということです。企画立ち上げから関わり、アニメーション制作から納品、その後の宣伝など販促展開までやることが望まれます。そのため、制作進行だけをやりたいという方よりは、トータルプロデュースに関心がある方に来ていただきたいです。
また、アニメを取り巻く環境のグローバル化への対応や、AIなどの最新テクノロジーへの興味、キャラクタービジネスに関するマーケティング能力など、今後は様々なスキルが必要になってきます。そういった得意分野に関するスキルをお持ちの方にも応募いただきたいですね。
ーークリエイティブ職では2D、3Dの両方で募集していますが、特別にこういったツールが使えて欲しいなどは有りますでしょうか。
高山:作品によって異なるツールを使うケースが多く、併せて色々なクリエイターとコミュニケーションをとりながら関わることになります。クリエイターとしては、一芸に秀でている方を中心に採用したいと思うのですが、最終的なキャリアとして作品を牽引するクリエイティブディレクターになりたい方が多くいらっしゃると嬉しいです。
ーー御社への就職にあたり、学生時代に経験していると望ましいことはありますか。
高山:特にこれだ!というものはありませんが、学生時代に目標を持って何かをやりきった経験がある方が向いているかもしれません。
アニメーションを作るにあたっては、沢山の方たちと関わることになります。学園祭の実行委員会のような、チームで何かを形にしていく経験でコミュニケーション能力が培われていると、弊社で活躍しやすいと思います。
これはプロデューサー職だけでなく、クリエイター職にも当てはまる話で、饒舌に話す必要はありませんが、一緒に働いて楽しいとお互いに思える程度のコミュニケーションは求められるかと思います。
ーー社内でコミュニケーションを促進するためのイベントや制度もあるのでしょうか?
横山:毎週金曜日に朝の定例会を実施するのですが、その中でスタッフの趣味や近況を話す機会を設けています。その他には季節ごとに不定期でイベントを実施しており、新宿御苑が近いので年に1、2回のピクニックを実施したり、4月はお花見を行ったりします。
福利厚生で月1回映画を経費で見ることができる制度を設けており、「今月なに見た?」「この映画、面白かったよ」といったコミュニケーションも日常的にありますね。
ーー本日は貴重なお話をありがとうございました!
ファンワークス 採用情報:https://job.mynavi.jp/25/pc/search/corp272843/outline.html
会社情報:
社名: 株式会社ファンワークス
創業: 2005年8月8日
本社住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷5-2-16 DeLCCS千駄ヶ谷3F
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本インタビューは3/20(水・祝)に開催したアニメ業界就職フェア「ワクワーク2025」の出展企業に、今年の採用に関するお話をお聞きしたものです。
ワクワーク2025 イベントページ:https://wakuwork2025.peatix.com