コミュニケーションとオーナーシップが自然と生まれるピクシブ的組織論
パートは変わり、「新規事業の立ち上げについて」というテーマでpixivプレミアム プロダクトマネージャー・山下鎮寛さん、pixiv Sketch・Pawooプロダクトマネージャー・清水智雄さん、ImageFlux事業責任者・道井俊介さんの3名が登壇。
pixivのマストドン「Pawoo」の超短期間での立ち上げエピソードをご存じの方は多いかもしれませんが、それ以外にも、すでに複数のサービスが同時並行で走っているピクシブでは、非常に新規事業の立ち上げが活発であることが話題として上げられました。
そうした新規事業立ち上げに何度も携わっている清水さんは、新規事業の立ち上げに関して必要なマインド・スキルセットがあると説きます。要点としては2つあり、「365日ひたすらサービスについて考えることができること」「サービスの今後の進化フローを思い描けること」。さらにそのためには日頃から自身が触れるサービスについて、良い点や悪い点を整理し、その改善点を考えるようにすることを具体的な練習方法として紹介しました。また新規事業を立ち上げる際のチームメンバーとしても、アイディアがすでに固まったタイミングで参加を要請する関係で、「考えるために立ち止まる人よりも自走してくれる人」「一緒に仕事をしていて楽しいと感じさせてくれる人」の2点を必要な素養としてあげています。
ピクシブでの新規事業の立ち上げについては、手を上げれば、上長含め会社として企画を受け止めるだけの体制が常にあることも語られました。自分自身が発起人ではない場合も、途中参加したい場合、プロジェクトに関わる当人たち同士で話がまとまれば、そのまま進むケースが多々あるとのことで、いかに柔軟な組織編成がされているのかがうかがい知れます。
また会社として、チームビルドは「エンジニアが働きやすい環境」を意識して考えられており、5〜6名の小さなチームを基本とし、どのチームであってもメンバーの8割がエンジニアとなるように構成していることが紹介されました。小さなチーム構成にすることで、自分以外のメンバーの仕事にも目が自然と行くことになり、互いに困っていることがあったりしてもすぐフォローができる、ひとりあたりに与えられる裁量権も大きくなるため自発的に自分がすべきことを考えるようになる、という効果もありそうです。
その一方で、小さなチームにする弊害として、チーム間のコミュニケーションが阻害されることも懸念されますが、その対策として毎週全エンジニア参加のプロダクト会議も実施していることも明かされました。人的コストを考えると非常に大きな投資といえ、会社として活発なコミュニケーションを生み出すことへの覚悟も感じます。
評価制度についても、上司が直接部下の評価を行わず、チーム外から客観的な評価がおこなわれることで、上下であっても意見を言いやすい環境を担保している点も、風通しの良さを重視するピクシブならではだと感じました。
パートの締めくくりとして、ピクシブ社内で共通認識化しつつある「オーナーシップ」という単語について説明が行われました。読んで字のごとく「自分自身がプロジェクトオーナーであるという自覚」ですが、ピクシブ内ではさらに広い意味として「自分がたずさわっていることは当たり前、人のプロジェクトでも我がことのよう動こう」という意味を含めて、オーナーシップという単語が使われているそうです。そういった素養がある人のみを採用していった結果、150人の規模の会社であってもメンバー同士が密にコミュニケーションを取ることができ、結果として離職率が非常に低い、という良いサイクルが生まれていることも語られました。