◆一緒にアニメを作っていきたいと思えるかどうか
――御社の制作進行職の募集要項にある「自分を紹介する写真を3枚」という部分の意図をお聞かせいただけますか。
浅野:
私たち(浅野氏と手塚氏)は制作進行の採用にはタッチしていないのですが、通常の履歴書だと証明写真だけになってしまうからだと思います。普段の様子がわかる写真を入れることで、書類選考の段階でその人の個性や人柄をイメージできるようにという意図があるのかもしれません。
手塚:
制作には資格のような採用条件がありません。むしろ、どういう人柄で、この人となら一緒に働きたいかの判断基準が必要です。アニメーターの場合、描けない人は採用できないので、まずは絵をみて判断されます。
――制作進行職の応募で、ポートフォリオを提出することは可能でしょうか。
浅野:
演出志望のかたもいるので、企画書や絵コンテを一緒に提出されることもあるそうです。参考資料として、面接官にみてもらうのですが、そこで採用をしているわけではありません。熱意は受け取りますが、制作進行のスキルにはプラスにはならないです。
――最近の学生に感じることはありますか。
手塚:
生活面を気にする人が増えたと思います。私たちの時代は、とりあえずは仕事ができればいいという部分がありました。最近では、会社を選ぶ入り口で、生活ができるかどうかを考える学生が多くなっています。会社としては、そうした不安は取り除けるよう努めています。
浅野:
それでも、アニメーターで受けるかたの中には、やはり描くことができればそれでいいという人もいて、逆にちゃんと考えてきたのかと心配になることもあります。
◆アニメ業界を目指す学生たちに向けて
――もしも今、お二人が新卒学生ならば、ウィットスタジオのどの職種を受けますか。
浅野:
私は若い時から原画を描きたいと思っていたので、やはり原画職として応募している気がします。
ただ当時は、原画の描き方は専門学校で教わってはいましたが、描きたい想いとは裏腹に具体的な部分はわかっていませんでした。おそらく弊社の「原画」の募集での、作品提出や課題作りには悩みながら時間を掛けると思います。
手塚:
もし弊社を受けるのであれば、私も原画職だと思います。
ただ、私も学生時代は、アニメーターになりたいと考えてはいましたが、あまり原画は描けていませんでした。そもそも、私がこの業界に入る頃は、紙に描くしかありません。描いたものを確認する装置もあまりなく、デジカメでスキャンするにしても、個人でやるのはなかなかハードルの高い時代です。
今は、自分で描いたものをすぐに確認して、色を塗るなどいろいろと試せます。SNSや動画配信サイトで発信することもできます。原画を描くツールも若者に届く値段で手に入るようになりました。
ですので、もし現代で新卒学生ならば、業界に入る前に、もっとたくさんの原画を描いていたと思います。
――最後に、3月のイベントに参加する学生や、これからアニメーション業界を志望する人たちに向けて、メッセージをお願いします!
浅野:
弊社は、アニメーターの枠組みとして、「原画」と「デジタル動画仕上」という2つに分けています。私たちのように「原画や動きが描きたい」というアニメーター志望のかたは、自分をアピールできる作品を、3月のイベントや応募の際にお見せください。
デジタル動画仕上げ職に関しては、技術は入社後にしっかりと教えて、覚えてもらうつもりなので、たとえば絵が描けない人でも、十分に応募可能です。
アニメーションが大好きで、アニメーションの会社に入って、我々の作品作りに参加したいという気持ちを持っていただけるだけでもかまいません。興味をお持ちのかたはぜひお越しください。窓口を広くしてお待ちしています。
――ありがとうございました!
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<ライター:横尾千智 、 編集:数土直志 、撮影:中山英樹>