アニメ制作で使用するツール・テクノロジー〜連載第1回 アニメーション技術の歴史〜

みなさんアニメは好きでしょうか?日本では1956年に「白蛇伝」が東映動画(現東映アニメーション)から公開されて60年以上が経ち、世界全体でも日本のアニメは知名度も高く、非常に人気もあります。そして人気を生む作品の裏側には、多くのクリエイターたちの努力と挑戦があり、さらには彼らを支える「アニメーション技術」があります。そこで、本日より「アニメ制作で使用するツール・テクノロジー」と題して、アニメーションに関わる技術をいろんな角度から見ていきたいと思います!アニメーションの裏側に興味があるファンの方だけでなく、アニメーション業界への就職に興味を持っている、もしくは検討している学生は、必見の記事になっております。ぜひご覧ください。

アニメーションとは

デジタル大辞林によると、アニメーションとは「絵や人形などを少しずつ位置・形をずらして一こまずつ撮影し、映写すると動いているように見える映画。動画。アニメ。」とのこと。日本では数々の名作が作られてきました。

有名アニメスタジオである東映アニメーションの建物

最古のアニメーション

アニメーションの原型は、19世紀にジョン・エアトン氏が発明した「ソーマトロープ」だと考えられています。ソーマトロープは、円形の紙の両面にイラストを描き、中心部分に紐や棒をつけたのち回転させることで、残像現象を利用してイラストを動かす技法です。
その後、映画の機械装置を利用して、1906年アメリカで「愉快な百面相」が、1908年フランスで「ファンタスマゴリー」がつくられたのがアニメーション映画としての始まりだと言われています。

日本におけるアニメーション技術の発展の流れ

20世紀に入り、セルアニメというセルロイドの透明なフィルムに絵を書いてアニメーションとする方法が主流になり、日本のアニメーションも1990年代前半までセルアニメと共に発展してきました。背景とキャラクター(以下、キャラ)を別々に描くことができるため、背景のみを固定し、キャラの表情や髪の動きなど細かな描写をコマごとにずらした後、両者を重ね合わせて撮影することが可能です。集団作業であるアニメーション制作において分担作業に適した制作手法だったのです。当然、手書きでキャラを描くため、コマごとに微妙な輪郭や位置のずれ生まれる場合もあり、セルアニメ特有の味わいが生まれます。

コスト問題や作業の効率化などの諸理由から1990年代にかけてデジタル化が進みます。いきなり現在のディズニーのような完全な3DCGアニメーションへの移行ではなく、作画工程で作成された絵をスキャンしデジタル化を行うもので、着色工程などをワンクリックで済ませるようにするなどのメリットはあるものの、基本的にはセルアニメのデジタル化に過ぎないものでした。また、連載記事の後半回でも詳しく紹介しますが、現在でも作画工程はデジタルペイントツールとソフトを使用しデジタル上に直接書き込む方式ではなく、紙に描いたものをデジタル化している制作スタジオはたくさん存在します。

2000年代になると、3DCGを、2DCGのアニメのように見せる「トゥーンレンダリング」という技術が登場します。本来CGはリアルな質感を感じる表現を得意としていますが、トゥーンレンダリングを用いればデフォルメされたキャラクターを作成したりそれらを3DCGの世界に合成することも可能です。3DCGは一度キャラをモデリングすると使い回しが可能で、制作量が多いTVシリーズなどでは有望視されていますが、モデリングに時間を用するため製作の初期段階で緻密な脚本やキャラ数の想定が必要で、初期の設備投資額なども含めて、まだまだ課題は多く存在します。現在、フル3DCGアニメーションを主体としてアニメを制作している会社は、ポリゴン・ピクチュアズ、サンジゲン、オレンジ、ヤオヨロズなどがあり、「けものフレンズ」(ヤオヨロズ制作)は2017年公開され非常に高い人気を獲得しました。これから少しずつ日本でも3DCGアニメの人気も高まってくるでしょう。ただそれと同時に、2Dアニメの雰囲気やタッチを好むファンは根強く存在し、得意分野を踏まえながら制作領域の住み分けが必要となってくると言えます。

今回の記事はアニメーション技術の発展の流れの概略を説明しました。詳しい部分は割愛していますので、気になる点があった方はぜひ調べてみてください!また、次回はアニメ制作時に使用するツールについての記事になります。アニメの技術を支え、作品を表現するためにどのようなツールが過去に使われてきて、また今現在使われているのか、乞うご期待です。

<ライター:浅井恵斗、 編集:数土直志>

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