「人類が絶賛衰退中の物語を覗こう!」from アニメライター講座

ワクワーク

ライター:山田涼矢

「人類は衰退しました」というアニメは2012年に放送されたSF作品です。SFに分類されますが、「妖精」が起こす問題を「主人公」たちが解決していくコメディ作品です。原作は田中ロミオがガガガ文庫で連載し、9巻で物語は完結しています。その後短編が2巻出ています。

あらすじは、文明が崩壊し数世紀、人類が少しずつ衰退していく中、人類と「妖精さん」がちょっと不思議な生活をしています。アニメの最初の話では、加工チキンが意志を持ち動き回る事態が発生しそれを主人公たちが原因を突き止め解決する、という言葉だけでは伝えづらい作品です。

主人公は通称「私ちゃん」(CV:中原麻衣さん)であり彼女は調停官(妖精さんが起こす事態の解決と報告)として実家で働いてます。

続いて「助手さん」(CV:福山潤さん)です。彼はほとんど話しません。本当は「私」より先に事務所にいます。「私」と彼の出会いの話は必見です。

また、友人「Y」(CV:沢城みゆきさん)です。BL好きで同人誌を販売するコミックマーケットのような話もあります。

「私」の保護者であるお祖父様(CV:石塚運昇さん)。彼も調停官であり、好きなものは銃や狩りで自室に武器コレクションがあります。

最後にメインキャラの「妖精さん」(CV:いろいろな方たち)です。この世界で新人類として生きており、好奇心でなんでも作ってしまい人間を巻き込んで行きます。お菓子が大好きです。話し方はのんびりしていて癒されます。

当時放送されていたライトノベル原作の他のアニメ作品との違いが3つあります。

まず1つ目はジャンルです。当時のアニメやライトノベルでは能力系バトルやラブコメ、異世界系などの作品が多い中、不思議な日常系ファンタジーという珍しい作品なんです。日常とはいえ毎話テイストが違うお話となっていてミステリーやアドベンチャーチックな内容の話もあり、飽きません。

2つ目の点として固有名詞がない点です。主人公は「私」友人「Y」などと話は進みます。妖精さんからは「人間さん」と呼ばれます。他の人達も固有名詞はありませんが、見ていて違和感はないです。メインが「人」と「人」の関係の話ではなく、「人」と「文化や世界観」について語り口調で進んでいくため話がスッと入ってきます。

3つ目としてドタバタ日常系な内容ですが、ミステリーの話の中にもコメディがあってシリアスあり笑いありのバランスの良い話になっています。祖父の助手をしている人物(「助手さん」)の話では、前半に主人公視点での話、後半はそれを踏まえた解説の話になっています。話としても非常にまとまっています。

最後に、このアニメのタッチは鮮やかで絵本のような雰囲気です。全体を通してほのぼのとしていてゆったりと見られ、たまにクスっと笑えるアニメです。

<編集協力:浅井恵斗>

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