2022年度アニメライター育成講座(現:アニメ業界ライティング講座)の10月の講義が29日にオンラインにて行われました。今回はその内容の一部をご紹介いたします。
編集:ドキドーキ!編集部
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今回のゲスト講師は宣伝ライター(オフィシャルライター)・編集者の岩倉大輔さん(https://twitter.com/dsk_iwakura)。
宣伝ライター、オフィシャルライターとは、アニメの公式サイトや映画パンフレット、Blu-rayBoxのブックレットなど、主に作品の送り手側・公式サイドの情報発信を担うライターのこと。これまで講義で取り扱ってきたマグミクスさんやKAI-YOUさんのようなメディアでの記事を書くライターとは、公式サイドの文章を書くのかどうかという点で立場が大きく違います(ギャランティもそれに伴って大きく異なるそうです)。
講義の前半は岩倉先生の略歴に絡めて宣伝ライターのお仕事をご紹介いただきました。以下、岩倉先生が文章などをご担当された作品の公式サイトの一部をピックアップいたします。
講義の中盤では、作品の魅力・見どころを伝えるイントロダクションとその書き方について解説をしていただきました。
イントロダクションとは、作品の物語や設定の導入部分を提示した文章のこと。アニメの公式サイトにはほぼ必ずある「STORY」の項目の文章などがその例です。講義では上記の『勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う』や『盾の勇者の成り上がり Season2』の公式サイトのイントロダクションを例に執筆意図をご説明いただきました。
イントロダクションを書く上でのポイントの一つは、評論のように「ここが見所!」「ここが面白い」といった要素は必要なく、作品の内容を客観的に伝えることなのだそうです。確かに、公式の文章では上記のような主観的な表現はあまり見ない印象です。
また、通常であればイントロダクションの文末は「〇〇は××を手に入れることができるのか?」といったように、主人公の夢や目標を提示するのがセオリーとのこと。倒すべき敵や手に入れたいものなどを明記した方が、何に向かって進む作品なのかが分かりやすいからです。そのため、目標や目的が明確でなく、キャラクター同士の関係の機微を描くことを主眼に置いた日常系作品は意外とイントロをまとめるのが難しいのだとか。
課題後半は、受講生が書いてきた文章を岩倉先生が添削するパート。
今回の課題は「ある漫画作品がアニメ化した場合を想定して、物語全体のイントロダクションと、原作第1話、第3話~第6話のあらすじを書く」というもの。先生からは、盛り込むべき要素、カットすべき要素、想定すべきこと、気を付けるべき表現、第1話とその後のエピソードのあらすじとで書き方が異なる点などの詳細な説明がなされました。
フィードバック後は岩倉先生が文章を書き換えてみてブラッシュアップ前後でどう変わったのかを説明された他、「通常、公式サイトの文章の発注があった時点で脚本は完成しているものなのか?」「文章が二次利用された際にも原稿料は発生するのか?」など具体的な質問もあり、濃密なやり取りがなされました(なお、上記の質問への答えは「完成している」「発生しない、買い切りが主」だそうです)。
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